今はアメフトで活躍しているAJグリーンの高校時代の恩師のエピソードです。
アメリカ・サウスカロライナ州にあるサマーヴィル高校のバスケ部は、 毎年州大会の地区予選で敗退する弱小チーム。
しかし部活動が単位として認められていたため、 それを目当てに入部する成績の悪い生徒も多かった。
そこへ、コーチのルイス・マルキーがやってきた。
ルイスの本職は消防士で、サマーヴィル高校のOBだったが学生時代はアメフト部で、バスケット経験がない素人だった。
そんな素人でも熱心な指導と、部活動以外でも部員の皆と付き合い、自腹で食事をご馳走したり、悩みや相談に乗ったりで徐々に信頼を得ていった。
サマーヴィル高校のバスケ部は徐々に変わり始め、地区予選では負け続きだったチームは徐々に勝てるようになり、その原動力となったのがミルハウスと「AJ」だった。
翌年、チームは州大会本戦への切符を勝ち取った。
一方プライベートでは、ルイスは恋人のローレンと結婚した。
だが結婚後、間もなく、ルイスはチャールストンソファスーパーストアの大火災の消火活動中に、 フラッシュオーバーに巻き込まれ殉職してしまう。
ルイスがいないチームは解散も考えたが、ルイスの意思を継ぐことにして、 本選に進む事を選んだ。
チームはローレンに優勝を誓い、一致団結した。
そして、サウスカロライナ州大会の本戦が始まった。
予選を勝ち抜いた32校によるトーナメント戦で、優勝するには5連勝する必要があった。
ベンチには消防署から送られたルイスのヘルメットが置かれ、 スタンドからはローレンが見守った。
ルイスへの思いを胸に、サマーヴィル高校は順調に勝ち続け、決勝戦に進出した。
決勝の相手は、過去4回の優勝を誇る強豪スパルタンバーグ高校だった。
試合は開始直後から一進一退。
その後もリード守ったまま、試合は最終第4ピリオドへ。
しかしサマーヴィルが立て続けに失点。
残り時間2分で4点のビハインドとなった。
主導権は相手チームが握っていて、このままだとよくない流れ
その時、スタンドの応援団から「ルイス・マルキー!」の名前が何度も叫ばれた!
するとサマーヴィル高校はルイスを思い出して息を吹き返し、 立て続けにシュートを決めて逆転。
2点リードのまま、1.7秒を残して相手チームがファール!
サマーヴィル高校にフリースローが与えられた。
フリースローを決めれば、リードが増えて優勝がより確実になる。
だが、そのフリースローを外してしまう!
そのリバウンドボールを相手高校のスパルタンバーグに奪われた。
しかも、あろうことかスパルタンバーグにブザービーターを決められてしまった!
優勝の夢が残りの1.7秒で逆転されてしまったかと思われたその瞬間、審判がホイッスル!
スパルタンバーグ高校がシュートを放ったときには既に残り時間がゼロになっていたため、得点は無効となった。
サマーヴィル高校は奇跡の優勝をした!!
その後、 サマーヴィル高校のバスケ部は、毎年州大会の本戦に出場するほどの強豪チームに成長した。
改修された体育館はルイスにちなみ、「ファイヤーハウス」と命名され、ルイスのヘルメットが保管されている。
AJ・グリーンは今はアマフトのシンシナティ・ベンガルズの選手として活躍している